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車海老(クルマエビ)閉鎖型循環式陸上養殖実験設備

陸上に設置された畜養水槽では、近傍の護岸から陸上ポンプで海水をくみ上げ、かけ流し方式で運用されています。揚水パイプの先端にはゴミ除けのストレーナーが取り付けられているのですが、頻繁に貝殻を吸い込んでしまい、揚水量を激減させるトラブルが発生していました。 
 
その都度、ポンプの分解清掃が必要になり困っていたため、吸込み配管の途中に「ヘヤーキャッチャー」を利用したストレーナーを設置しました。 
 
ストレーナーの効果はてきめんで、二枚貝の貝殻が次々と捕捉できるようになり、ポンプの保護に役立っています。 
写真1 クルマエビ閉鎖型循環式陸上養殖実験設備

 車海老は、伊勢海老とともに古くから最高級の海老として知られています。 
商業ベースに乗る甲殻類のなかでは国内で唯一養殖されており、全国各地で盛んに行われてきました。 
 
そもそも車海老は、暖流系の内湾域を中心に生息しています。 
日本での分布は北限が太平洋側では宮城県、日本海側では秋田県となっており、特に生産地として有名なのは内湾干拓域のある太平洋岸、具体的には瀬戸内海や伊勢・三河湾に有明海となっています。 
クルマエビの養殖が盛んに行われているのも内湾沿岸域が中心で、かつての塩田跡地になどが利用されてきました。 
現在のクルマエビの生産量は、上位から鹿児島県・沖縄県・熊本県・大分県・長崎県の順です。 
クルマエビは、強健さも特徴の一つです。 
海老に限らず一般的な甲殻類や魚介類は、新鮮な状態を維持しながら輸送するため、を海水を入れた水槽の中で運ぶこともあります。 
しかしクルマエビは、海水がない場所でも生きられる甲殻類です。 
おがくずの中でも生き続けられるので、海水を入れた水槽を使わなくても新鮮なまま輸送できます。 
日本の地形に適していることだけではなく、水なし輸送が可能な点もクルマエビの養殖が盛んに行われている理由です。